2019年6月中に読んだ本

読んでいなかったわけではないのですが、記録として滞っていました。
先月はなんとなく活力が戻ってきたので、いろいろと気になっていた本に取り組み。

小説としては、『小さいおうち』や最近の毎日新聞での記事などで私のなかでの注目度が高まっていた中島京子さんの作品を3つ。
映画『小さいおうち』を観ました – 日なたの縁台
2015年7月中に読んだ本 – 日なたの縁台
時代の風:850億という数字=中島京子・作家 – 毎日新聞
時代の風:森友問題の本質=中島京子・作家 – 毎日新聞

中島さんも<食べごと>が好きな作家さんなのでしょうか、ふとしたところに出てくる料理の描写が美味しそうで。

『長いお別れ』は映画化されて今年の5月に公開されていたようで、予告編だけYouTubeで観ました。山崎努さん、さすがの演技だなぁと予告編だけで感服。

作品としては、とりわけ、『彼女に関する十二章』が面白かったです。現代的なテーマや女性として身につまされる視点がてんこ盛りで。ふふふっと笑ってしまいつつも、そうだよなあとなる対話がいくつもありました。

中島さんの『彼女に関する十二章』も社会的な視点を内包した小説なのですが、もっと直接的に社会的な本が以下の2冊でした。

  • 武田砂鉄 『日本の気配』
  • フランク パヴロフ 『茶色の朝』

武田さんがあちこちの媒体に書かれた文章を1冊にまとめた本なのですが、読書メーターでの感想にも書いたとおり、安倍政権になってからの日本で起きてきたアレコレをあらためてふり返らせてくれました。
7/21に参院選がありますが、衆参の「ねじれ」をなんとしても生みださないと、日本の先行きは真っ暗なこと間違いないです。それで生きやすくなる人ももちろんいるのでしょうが、個人的には真っ平御免。
容認できないことがてんこ盛りの政権ですが、ここまで言葉を軽んじる集団ということが、そもそも許容範囲外です。

そして『茶色の朝』。

とてもとても短い小説ですが、いまのままで良いのか? 小さな違和感を見過ごしたままでいいのか? また過ちを繰り返すのか? と鋭く問いかけられる本です。
2002年フランスの大統領選挙で、極右主義のルペン候補が決戦投票に残ったことをきっかけに広く読まれ、シラク大統領が選出される原動力となったそう。
2002年フランス大統領選挙 – Wikipedia

日本ではその翌年の2003年に出版され、東大の哲学を専攻されている高橋教授が本書の背景をふくめた解説を寄せているのですが、その解説が2003年にかかれたとは思えないくらい、いまの2019年の日本に当てはまることが多すぎてですね。

図書館でも多く取り扱われていると思うので、少しでも多くの方にいますぐ読んでいただきたいと思う本です。

▼ 2017年に公開された高橋教授へのインタビュー記事。こういう記事を載せているパルシステムさんを応援

あとは「守り人」シリーズで有名な上橋菜穂子先生のとても個人的な半生をふりかえるようなエッセイ。
知人の当時高校生のお子さんにおすすめされて読んだ『獣の奏者』で、すごい!面白い!と感銘をうけた上橋先生の回顧録、なぜ人類学者との二足のわらじをはくことになったのかなど、興味深かったです。
そしてドラマ化された「守り人」シリーズまだ未読なのですが、ドラマ化による影響も落ち着いてきたので、図書館で少しずつ読みはじめました。

そして、スクリプトドクターという職をされている、映画監督でもある三宅隆太さんのトークイベントをまとめた本。
こちらも、普通なら「なんとなく」でされていることを、きっちり言語化して解きほぐしている感じのトーク内容でとても面白くてですね、三宅さんの書かれた「脚本家のための」シリーズも読んでいるところです。

そんなこんなで、充実した読書月間でした。

6月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1497
ナイス数:44

女中譚

女中譚感想
元ネタは読んだことがなかったのだけど、秋葉原のメイドカフェを舞台に組み込みながら書かれていて、面白かった。
たくましく、チャーミングなおばあちゃん。
読了日:06月28日 著者:中島 京子長いお別れ

長いお別れ感想
どこかユーモラスになってしまう噛み合わなさと細々とした日常生活の補助。
でもまだまだ介護する家族側に余裕があったからこそ「長いお別れ」ができたのだなと、日本が抱える高齢化社会問題とともに思った。
読了日:06月27日 著者:中島 京子日本の気配

日本の気配感想
安倍政権になってから、どれだけ言葉が軽く扱われ、どれだけ基準となる線をずらされてきたのかを、あらためてふり返らせてくれた本。
ずらされるラインが少しずつなので、このくらいならこのくらいならと、気配にのまれて許容している内に、ずいぶんと遠くまでずらされてきたなと。
読了日:06月24日 著者:武田砂鉄物語ること、生きること

物語ること、生きること感想
“夢見る夢子ちゃん“ というコンプレックスをバネにして、靴ふきマットからうりゃっと飛びだす。そこで傷ついたりすることもあるけれど新しい世界がきっと広がるよ、という、上橋先生の飾らない言葉に励まされる気持ちになった。
読了日:06月22日 著者:上橋 菜穂子,瀧 晴巳彼女に関する十二章

彼女に関する十二章感想
すごく面白かった。主人公の聖子さんが温かい人柄でそれが良い味。
かつてのベストセラーを引きながら、現代社会が抱えるアレコレを書かれている。日本の「<他人のために自分のエゴを否定する>愛」についての解釈とか、なるほどと思った。
読了日:06月20日 著者:中島 京子スクリプトドクターのプレゼンテーション術 (DIALOGUE BOOKS)

スクリプトドクターのプレゼンテーション術 (DIALOGUE BOOKS)感想
ブックカフェでのトークを本にしたもの。
ビジネス書的なプレゼン術ではなく、人対人で自分は何を伝えたいか、何を大切にしているかなど、ご自身の心模様含め、内省して言語化されていて、自己開示されていて、とても面白い内容だった。
タマフル時々聴いているので、そこつながりで手にとった本(あとは三浦しをんさんも何かで対談されてたから)。
読了日:06月15日 著者:三宅隆太茶色の朝

茶色の朝感想
とても短い本。いまの日本の社会に何か?と感じるものがある人は、絶対に読んでおいた方がいい。
2003年出版ということが信じられないくらいの、高橋先生によるメッセージと合わせて。
読了日:06月13日 著者:フランク パヴロフ,ヴィンセント ギャロ,藤本 一勇,高橋 哲哉

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