先日注目していた最高裁の判決が出ましたが、夫婦同姓を規定している現在の民法は違憲ではない、との判決でした。

たしかに、民法の文言自体は “婚姻の際に夫または妻の氏を称する” とあるように、結婚後の姓としてどちらを選択しても良いとしています。なので、それは憲法13・14・24条に反するものではなく合憲である、との判決となったことは、残念であるものの、致し方ないという思いもあります。

ただ判決文を読みながらどうしたってモヤモヤモヤモヤっときたのは、次の一文です。

しかし,夫婦同氏制は,婚姻前の氏を通称として使用することまで許さないというものではなく,
近時,婚姻前の氏を通称として使用することが社会的に広まっているところ,
上記の不利益は,このような氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得るものである。
平成26年(オ)第1023号 損害賠償請求事件(判決文PDFへのリンクあり)

いやいや、一定程度は緩和? されているかしら?と。

婚姻にともなう名義変更の嵐

下のリストは、私自身が結婚して夫の氏になったことで名義変更が必要となったものです。

  • 各種口座(銀行、証券など)
  • 運転免許証
  • パスポート
  • クレジットカード
  • ポイントカード
  • 医療・生命保険
  • 国民年金
  • 健康保険
  • 資格・免許(運転以外)
  • 印鑑

結婚に至るまでの生活によってリストは変わるので、あくまで一例ではありますが、多いと見るか少ないと見るか。

日中直接店舗へ赴いたり、警察署へ出向いたり、本籍地から戸籍謄本を取り寄せたり、請求のための印紙を用意するために郵便局に出向いたり、パスポートセンターに出向いたり、印鑑を買ったり、ネット経由ではあるものの、各種用紙を取り寄せたり。

諸費用も、ちりも積もれば~です。

また入籍から新婚旅行まで時間が空き、どのタイミングでどの名義の変更手続きを完了させておくべきか、旧姓・新姓どちらで飛行機やホテルの予約を取るかなど、余計なことに頭を悩ませなくてはなりませんでした。

また入籍後の勤務では、給与にからむ部分は戸籍名でなくてはなりません。また資格がからむ仕事をしているので、それらの登録も戸籍名にすること、または旧姓とのつながりが証明できるものを求められました。

緩和されたこと… 同僚からの呼び名が変わらなかったことくらいでしょうか。

また住所の宛名も通称使用では対応できません。(住所が正しければ届けてはもらえますが、表札と姓が異なる場合、配達員の方が確認するというお手間が)

季節柄、年賀状の準備をしていますが、友人の新姓をメモし忘れていて、別の友人にこっそり聞くなどしました…。(これで思い出しましたが、同窓会の名義や住所変更手続きもある)

そしてもう1点、判決文を読んでいて気になったことがありました。

それは判決のなかで想定されていると感じた「家族のかたち」についてです。

長くなってきたので、後編へ続けます。

最高裁の夫婦別姓に関する裁判の判決に思ったことなど(後編)