夏休みを挟んだからか、月の前半に読んだ本が、だいぶ前のものに思えます。

8月は小説3冊、漫画1冊、対談本1冊でした。

密かなマイブーム:蓮丈那智シリーズ

日経新聞で日曜日に連載されている有栖川有栖氏のレビューをきっかけに読んだ本です。

民俗学とからめたミステリーということで、面白そう〜と。

業界内では異端の民俗学者である大学教授の蓮丈那智(女性)と助手の内藤三國が、研究のためにフィールドワークに赴くと、毎度何かしらの事件に巻き込まれます。

そして、事件の背景として、民俗学の研究対象である代々伝わる風習や慣習、道具、寺社、像、遺跡などなどが絡んでくるとともに、謎解きにも関係する、といった内容です。

江戸や明治なども出てきますが、やや古事記や日本書紀などに託されているとされる大和王朝成立に関する話が多いかもしれないです。

もともと、

などをきっかけに、大和〜奈良辺りの話題が好きなので、読んでいて、おもしろ楽しいです。

昔、TVドラマ化されたそうですが、全然知りませんでした。

ついに完結、持統天皇物語

小学生のときに母が買ってきてくれた漫画が、里中満智子さんの『女帝の手記』でした。

女性ながら皇太子となり、その後、孝謙天皇、称徳天皇と2度即位した阿倍内親王が主人公で、道鏡(称徳天皇の愛人として国家を転覆させようとした怪僧とされる)の自筆の書を見たときに、「なんだか、歴史書で書かれているのとは違って、素直そうな人」と感じたのが、話を描くきっかけだった、的なことがあとがき(?)に書かれていたように思います。

で、それを読んだ頃から『天上の虹』の連載が始まっており。コミックを買い始めてから、はや20数年ほど。

途中から連載ではなく書き下ろしになり、いつ発売されるのか見通しが立たなくなったので、追えていない時期もあったのですが、先日ついに完結し、本当に感無量でした。

「強い女性」に憧れる素地は、この漫画から培われた部分もあるかもしれないです。

神々の雑談がまとめられた1冊

あとの1冊、ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールによる対談本『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』は、紙で出来た本が、今後どのようになっていくか?をテーマにしつつ、話があっちこっちに広がっていくのが楽しい本でした。装幀も凝ってました。

紙でできているということは、燃えたりすれば、あっという間に消えてしまう。

電子媒体なども、再生するための機械がなくなってしまえば、情報にアクセスできなくなるという点では同じ。

だけども、ほんの数10年間の進化によってアクセス出来なくなってしまった電子記憶のことを考えると、何千年も前の記録に未だに簡単にアクセスできる紙の本って、やはり素晴らしいと思うよ、

というのが両人の対談の大意(だと思う)のですが、

「○○を知ってますか?」「はい、○○ですね、あれは〜〜〜で、□□とかは〜〜〜で」と、果てしなく話題が広がっていきます(笑)

あとは対談の中で、ふと、

語りえぬものについては、沈黙しなければならない

で有名な哲学者のウィトゲンシュタイン氏を、彼は簡単な当たり前のことをものすご〜く難しく書いている、といった感じで評していて、ちょっと苦笑いしてしまいました。

大学生のときに同級生が格好いい格好いいと言っていたので買ってみたウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』、もうほんとチンプンカンプンで、全然読めなかったのを思い出しました(笑)

2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1577ページ
ナイス数:9ナイス
写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫)写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫)
読了日:8月27日 著者:北森鴻
天上の虹(23)<完> (KC KISS)天上の虹(23)<完> (KC KISS)感想
小学生の頃から読み始めて…受けた影響は小さくないと思う。祝・完結!
読了日:8月20日 著者:里中満智子
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉 (新潮エンターテインメント倶楽部)触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉 (新潮エンターテインメント倶楽部)
読了日:8月19日 著者:北森鴻
凶笑面―蓮丈那智フィールドファイル〈1〉 (新潮文庫)凶笑面―蓮丈那智フィールドファイル〈1〉 (新潮文庫)感想
有栖川有栖氏のレビューをきっかけに読んだ本。おもしろかった! 京極堂シリーズが好きな人は、好きなんじゃないかな、と思ったり。
読了日:8月9日 著者:北森鴻
もうすぐ絶滅するという紙の書物についてもうすぐ絶滅するという紙の書物について感想
電子書籍も読むけれど、やはり紙の書籍の方が読みやすい。車輪のように、誕生のときから紙の本は完成されていた、という発言が度々出てきていたけれど、そう思う。しかし、紙であれ、電子データであれ、失われるときは失われてしまう。いま現在ある書物達は、発刊当時、どういった評価を受けていたのか。 あちらこちらに話が膨らみ、とどまるところを知らない神々の雑談を垣間みた気分。とても面白かった。
読了日:8月5日 著者:ウンベルト・エーコ,ジャン=クロード・カリエール
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