9月も図書館やKindle Unlimitedを活用して13冊。太平洋戦争関係のものやフェミニズム関連のもの多めのラインナップでした。

太平洋戦争に関連するものは

  • 散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道
  • 硫黄島 栗林中将の最期
  • ペリリュー ─楽園のゲルニカ (1〜3巻:Kindle Unlimited対象だった)
  • あんずの木の下で:体の不自由な子どもたちの太平洋戦争

で、上3冊は南方の最前線だった島での出来ごとについて書かれた本とマンガ。
上2冊の舞台である硫黄島は、嵐の二宮さんも出演されていたクリント・イーストウッド監督の映画「硫黄島からの手紙」でご存知の方も多いかも。

『散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道』は、7月8月にも読んだ本の著者である梯久美子さんのデビュー作。やっと読みました。

本の題名でもある「散るぞ悲しき」は、硫黄島玉砕の際に栗林中将が大本営にあてて送った辞世の句「国の為重きつとめを果たし得て、矢玉尽き果て散るぞ悲しき」からきています。
ですが戦時中は”悲しい”などという言葉はふさわしくないと判断されたのでしょう。当時の報道では大本営によって「散るぞ口惜し」と書き換えられました。

そのような硫黄島における史実や栗林中将が家族にあてた手紙 (現地での最高司令官ということもあり事実上の検閲なしで届いたため、戦況について一兵士であれば到底書けなかったであろう内容なども書かれていたりもした) や数少ない生存者や親族の証言などをもとに構成された本です。

そして『硫黄島 栗林中将の最期』は、デビュー作『散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道』の後日談というか、栗林中将の諸説ある最期についてや、硫黄島で玉砕した若年または壮年の兵士やその遺族たちの話や、声をなくした(当時の)美智子皇后が硫黄島で遺族たちとの交流し(慰霊訪問)声を取り戻した話などが書かれています。

奇しくもこの本を読んでいるときに、眞子内親王の心の不調をめぐる報道などもあり。日本の天皇制、とくに女性皇族のあり方については、考えてしまうところもありました。

『ペリリュー ─楽園のゲルニカ』はKindle Unlimitedで読めた分を。11巻で完結しているそうなので、機会があれば続きも読みたいです。

『あんずの木の下で』は小手鞠るいさんが書かれた子ども達向けのノンフィクションで、高学年くらいの子なら自分でも読めるのではないかな。

戦時中、現在の特別支援学校にあたる学校に在籍していた生徒たちは集団疎開の対象から外されており、そこで学校が奔走して、なんとか疎開先(長野県 上山田温泉)を見つけ、そこで暮らした日々の様子などをつづった作品です。

戦後76年。戦争を体験した人も減りつつある中、子ども達にもさまざまな作品を通して過去のできごとを知り、それぞれが大切にすべきことを判断していって欲しいなと思います。

個人個人としては戦争中でも「思いやり」や「助け合い」や「愛」を持ち、それにもとづいて振る舞える人もいましたが、一度国としての大きな流れに巻き込まれてしまえばそれに逆らうことは難しくなります。なので、大きな流れにならないように、その前に小さな渦で食い止められるように、歴史を知っておくことは重要だし、政治とは無縁でいられないと考えています。

フェミニズム関連の本としては

  • ぼそぼそ声のフェミニズム
  • スタッキング可能

の2冊。

『ぼそぼそ声のフェミニズム』は栗田隆子さんがこれまでに様々な媒体で書かれていたものをまとめた1冊だったのですね。

キラキラ、バリバリ働いている女性達の声が取り上げられることが多いので、フェミニズムが何かしらの社会的立場や学術的権威と結びつけて捉えられてしまうことがまだまだあるのが現状ですが、生活のために働く自分たちにも、フェミニズムは遠いものではないということを経験を通じて書かれていました。

本当にこれはそうだよなと。
私は男性であれ女性であれ、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェさんが書かれているように「そう、ジェンダーについては今日だって問題あるよね。だから改善しなきゃね、もっとよくしなきゃ」と思っているので、そう思う人すべてに「フェミニズム」は開かれているのだと声を大にして言いたいです。

少なくとも、賃金格差や男または女が〇〇すべきという考え方は、早く過去のものになって欲しい。

9月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3179
ナイス数:21

硫黄島 栗林中将の最期 (文春新書)硫黄島 栗林中将の最期 (文春新書)
読了日:09月30日 著者:梯 久美子
散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道 (新潮文庫)散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道 (新潮文庫)
読了日:09月28日 著者:梯 久美子
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 3 (ヤングアニマルコミックス)ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 3 (ヤングアニマルコミックス)
読了日:09月26日 著者:武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会)
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 2 (ヤングアニマルコミックス)ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 2 (ヤングアニマルコミックス)
読了日:09月26日 著者:武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会)
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)
読了日:09月26日 著者:武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会)
ぼそぼそ声のフェミニズムぼそぼそ声のフェミニズム
読了日:09月25日 著者:栗田 隆子
こんぴら狗 (くもんの児童文学)こんぴら狗 (くもんの児童文学)
読了日:09月19日 著者:今井 恭子
あんずの木の下で:体の不自由な子どもたちの太平洋戦争あんずの木の下で:体の不自由な子どもたちの太平洋戦争
読了日:09月19日 著者:小手鞠るい
持続可能な魂の利用 (単行本)持続可能な魂の利用 (単行本)
読了日:09月18日 著者:松田 青子
フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方フィッシュ!―鮮度100%ぴちぴちオフィスのつくり方
読了日:09月16日 著者:スティーヴン・C・ ランディン,ジョン・クリステンセン,ハリー・ポール
狐笛のかなた狐笛のかなた
読了日:09月08日 著者:上橋 菜穂子
スタッキング可能スタッキング可能
読了日:09月06日 著者:松田 青子
Aではない君とAではない君と感想
感想という形で消化するまで、時間がかかりそうだ。
読了日:09月03日 著者:薬丸 岳

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