朝からぞっとさせられるニュースを目にして、目の前が暗くなりました。

それが以下のニュースです。

厚生労働省は14日、保育所の運営指針について、2018年度からの改定案を公表し、3歳以上の幼児を対象に、国旗と国歌に「親しむ」と初めて明記した。

保育所でも国旗国歌、厚労省 新指針公表、押し付け懸念も – 共同通信 47NEWS

先日の千葉市の件で目を通していた「保育所保育指針」ですが、全体的に改正される案が出されました。

「保育所保育指針の全部を改正する件」に関する御意見募集について

また保育園だけでなく、認定こども園、幼稚園についても同様です。

私も昼休み中にざっと目を通してみただけなので、読みこめてはいませんが、発達に関して得られた新しい知見を盛りこみつつ、そこに国旗や国歌、国の伝統についての記述が入り込んでおり、正直ぞっとする代物になっていました。

該当箇所は、「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」という章の、「環境」とされた項目内です。

たとえば、「国旗」については、

  • 自然に触れて生活し、その大きさ、美しさ、不思議さなどに気付く。
  • 生活の中で、様々な物に触れ、その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
  • 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。

などの記述が並ぶなかで突然、

  • 保育所内外の行事において国旗に親しむ

との記述が出てきます。

「国歌」については、

  • 子どもが、遊びの中で周囲の環境と関わり、次第に周囲の世界に好奇心を抱き、その意味や操作の仕方に関心をもち、物事の法則性に気付き、自分なりに考えることができるようになる過程を大切にすること。また、他の子どもの考えなどに触れて新しい考えを生み出す喜びや楽しさを味わい、自分の考えをよりよいものにしようとする気持ちが育つようにすること。
  • 幼児期において自然のもつ意味は大きく、自然の大きさ、美しさ、不思議さなどに直接触れる体験を通して、子どもの心が安らぎ、豊かな感情、好奇心、思考力、表現力の基礎が培われることを踏まえ、子どもが自然との関わりを深めることができるよう工夫するこ と。

などの記述がされるなかで、これまた唐突に、しかしながらさりげなく、

  • 文化や伝統に親しむ際には、正月や節句など我が国の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり、異なる文化に触れる活動に親しんだりすることを通じて、社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすること。

との記述がなされていました。

閑話休題。

アメリカ大統領選の最中、TVで放送されていた「貴方はなぜトランプを支持するのか?」と聞かれた人の答えで、強く印象に残っているものがあります。

インタビューされた女性が答えていたものだったのですが、「彼には確かに問題が多い。でも、強いアメリカの復活という彼が目指そうとしているものと比べれば、その問題は、大したことではない。」と。

そういう考え方もあるのか、と思いました。

ただ私自身は、「個人の人権」や「思想・信条の自由」など、国が尊重すべきものとして、基本的人権の保障に勝るものはないと思っています。
戦前、戦中のように、国に思想を統制され、反対する者は迫害され、監視され、そして互いに監視しあいながら過ごさなければならない日々の再来は、真っ平御免です。

そして中学、高校でも、国歌斉唱や国旗掲揚は強制するものではないと言いつつ、自治体によっては、すでに教員への罰則が設けられていますよね。
それと同じことが、保育園や幼稚園の段階から行なわれるようになる、そう考えただけで、虫酸が走ります。

自民党が出している日本国憲法の改憲案も、9条ばかりに耳目が集まっていますが(集められている?)、他の条項もかなり空恐ろしい代物に書きかえられており、むしろそちらの方が本丸ではないかと思っています。

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国歌や国旗に幼い頃から親しむと書き加えられるくらい、どうってことないことではないか。 私にはそうは思えません。

さらりと流されるニュースを見て、そのあらためて考えました。