先月はTBSで放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の原作本、海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』全9巻を一気読みしました。アイキャッチ画像は、「逃げるは恥だが役に立つ」のことわざが生まれた地、ハンガリーにある王宮です。

私は、ドラマ → 原作の順で作品にふれたのですが、ドラマの脚本を手がけた野木亜希子さん、やっぱり素晴らしい! 原作のエピソードをうまく拾いあげてドラマ化されていたことが、今回原作を読んで改めてわかりました。実写化されたときに起こりうる、「あれ、なんか全然違う話になってない!?」感がまったくなかったです。

野木亜希子 – Wikipedia

ドラマ『逃げ恥』の脚本が素晴らしかったという話

野木さんが実写化作品の脚本を手がけたドラマはいろいろあるのですが、私が『逃げ恥』以外に観たことがあるのは『空飛ぶ広報室』と『図書館戦争』です。

『空飛ぶ広報室』も『逃げ恥』と同じくガッキー主演で、恋愛や仕事における男女の関係性について問題提起をしていた(と思う)作品で、録画も消さずに残してあります。ただこちらは原作未読。

一方『図書館戦争』は、原作 → ドラマの順に観て面白かったものの、胸キュンラブとアクションに比重が傾いており、原作ファンからするとちょっと物足りなさがありました。言論統制や表現の自由など、ポリコレに関する話ももっと盛り込めたんじゃないかなとか。

そして今回の『逃げ恥』。「多様性」をコンセプトにした脚本にすると言っていたという野木さん、1話たりとて無駄のないドラマでした。

また放送時に印象的だったエピソードで、テーマが時節にドンピシャだったことから、これは原作にあったエピソードなのか、オリジナルなのか気になっていたのですが、今回原作を読んでみて、オリジナルだったこともわかりました。

ドラマ『逃げ恥』で印象に残っていたエピソード

第9話にあった短いエピソードなんですが、主人公のみくりの伯母で、化粧品メーカー勤務の百合ちゃんが主となるエピソードでした。

その化粧品メーカーは、「自由に生きるために美しくなる」というコンセプトのもと商品を展開していたのですが、そこへある日「細胞レベルまで愛されたい。めざせモテ肌。」なるキャッチコピーの広告が出ていたことが発覚し、さあどうする!?という、ものでした。

で、そのとき、話題になったというか炎上していたのが「資生堂のインテグレートのCM」。(25歳、今日からあんたは女の子じゃないとか、疲れが顔に出ているうちは半人前、などと言ってたやつ)

あの女性を脅迫するというか上から目線でダメ出しするような広告が、女性”自身”が美しくありたいという想いやオシャレを楽しみたいという気持ちを後押ししていたはずの資生堂から出てきたことに、ショック!という反応は、私のTwitterのTLにも多く流れてきていました。

百合ちゃんはその広告に断固抗議するため、許可をだした上司に直談判しに向かい、見事撤回させるのですが、直談判する百合ちゃんに、

もちろん、そうしたコンセプトのメーカーがあるのは構わないし、それを否定する気はありません。

ですが、それをうちがやる必要あるのか?と言ってるんです。

と言わせているのも、かのCMををふまえた視聴者へのメッセージだったんじゃないかな、と。そして、「モテたい」という気持ちも否定せず、一方で、自分のために装いたいという想いをふみにじるのも違うでしょと。うまい台詞だなと思いました。

「契約結婚」というキーワードや「逃げ恥ダンス」で注目を浴びていましたが、ほかにも、専業主婦/兼業主婦/独身女性、モテ/非モテ、正規/非正規雇用、帰国子女、年齢、性的指向など、原作をふまえつつ設定を少し変えることで、さらにあらゆる多様性の要素がつまったドラマになってたなと思います。

脚本家見します

私は気になる作品があると、出演者や監督だけでなく、脚本はだれかな?とチェックしたりもするのですが、野木さん以外に気にしている脚本家が大森美香さんです。

大森美香 – Wikipedia

最近では、NHKの朝ドラの『あさが来た』を手がけてましたが、個人的に印象に残っている作品は2005年放送の『不機嫌なジーン』です。竹内結子主演だったのですが、ヒロインが選択した道が、なんだかんだあってもハッピーエンドのドラマが主流だった当時としては驚きでした。主題歌を担当したYUIもこれがデビュー曲で、放送されていたときに1度見たきりなのですが、なんだか記憶に残っているドラマです。

不機嫌なジーン – Wikipedia

原作あってこそ

なんて長々とドラマの話を書いちゃいましたが、それもこれも海野さんの原作があってこそ!

すべての巻であとがきを1〜2ページ書かれていたのですが、そのあとがきも面白かったです。もしも私があのとき○○という選択をしていたらとか、ドラマ化のことや、体調のことや。

裏話、大好物です。

▲ こんなのも発売されてるのか、気になる

それではまた。