2015年4月中に読んだ本
先月は、積ん読本になっていた2冊を消化しました。
そのうちの一冊、藤原正彦著『天才の栄光と挫折ー数学者列伝』から感じたことなどを、つらつら書いてみたいと思います。
藤原正彦『天才の栄光と挫折ー数学者列伝』
藤原正彦さんの本(エッセイ)は『若き数学者のアメリカ』から、ほぼ全て読んでいます。
やや右寄りと捉えられそうだったり、なんというかワークライフバランスという点では家族の負担が大きそうだな…と読んでいて思う節もありますがユーモアのある文章を書かれる方で、好きです。
今回読んだ『天才の栄光と挫折ー数学者列伝』は、ニュートン、関孝和、ガロワ、ハミルトン、チューリングなどなど、そうそうたる数学者たちの故郷を藤原正彦さんが訪ねつつ、彼らの業績の概要を述べるとともに、彼らの生き様についても光が当てられている、といった内容です。
あの偉大な数学者にもこんな一面が、といった部分も多くあり、グイグイ引き込まれました。
▼ 『グッドウィルハンティング』でちらりと名前が出てくる、ラマヌジャンについての章も。こちらの監修も藤原正彦氏がされていたと、なにかの本のあとがきで読んだような気がします。
個人的な白眉はやはり、フェルマーの最終定理を証明した、アンドリュー・ワイルズの章でしょうか。
この章では、偉業を成し遂げたワイルズ氏もさることながら、フェルマーの最終定理を証明するための土台となる発想・証明を提出した、戦後間もない時期の日本の数学者らについても触れられていました。
そして、ワイルズ氏が偉業を成し遂げる背景にあったであろう、忍耐や幸運、産みの苦しみなどについて書かれた部分は、やはり藤原さんがワイルズ氏と同じ数学者であるからこそ書けたのであろう臨場感で、学問のある1つの分野が進むことにより生み出される大きなうねりといったものに、じんとさせられました。
▼ 昔NHKで放送された「ポアンカレ予想」に飲み込まれた数学者についてのドキュメンタリー。今回読んだ本とは関係ありませんが、とても印象に残っています。
なんといいますか、敬虔な気持ちになる本でした。
読書メーターでのまとめ
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:509ページ
ナイス数:4ナイス
見ないふりをして歳を重ねてゆくこともできるけれども、宏樹の気づきには、救いがあったな。佐藤多佳子著『黄色い目の魚』を少し思い出しました。
読了日:4月27日 著者:朝井リョウ
天才の栄光と挫折―数学者列伝 (新潮選書)の感想
フェルマーの最終定理の解決は、知っていてもジンとくる。
読了日:4月6日 著者:藤原正彦