昔読んだ本の再読です。

氷点』『塩狩峠』などで有名な三浦綾子さんの作品で、小林多喜二の母を描いた作品『』を読みました。

三浦綾子著『母』

日経新聞で毎週日曜日に連載されていたコラムで小林多喜二が取り上げられていたことから思い出し、本棚から引っ張りだしてきました。

東北の農村に生まれ、少しばかり裕福な家に嫁いだものの、義兄が事業に失敗し、暮らし向きが変わってしまいます。

その後、長男を病気で失くすという辛い出来事を乗り越えながらも他の子ども達は無事成長してゆき、裕福ではないながらも銀行員となった多喜二の働きもあり、暮らしは安定してきます。

しかしながらそこへ、戦争の影が忍び寄り、次男の多喜二は時代の渦に飲み込まれ、帰らぬ人に。

晩年、信者とはならないもののキリストの教えにふれながら、これまでの人生に思いを馳せつつ、小説は終わります。

道義に背いたことをしている訳ではないのに、時節にそぐわないがために、苦しい道を歩むしかない時代。

今の安保関連法案に関する流れに諸手を挙げて賛成! とはどうしても思えないので、そういう点に意識が向いてしまう読書でした。

2015年6月の読書メーター
読んだ本の数:1冊
読んだページ数:244ページ
ナイス数:3ナイス

母 (角川文庫)母 (角川文庫)
読了日:6月24日 著者:三浦綾子

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