2015年8月中に読んだ本
今月は、前から読みたいなと思っていた本をがっつり読めました!
どれもこれも面白かったのですが、そのなかの、春日太一著『なぜ時代劇は滅びるのか』から派生して、ちょっと語りたいと思います。
この本は、赤江珠緒さんがパーソナリティを務めてらっしゃるTBSラジオの『たまむすび』で紹介されていたことこら知り、読んでみたいなと思っていた本でした。月~木の13:00~放送なので最近は聞けなくなってしまいましたが、育休中よく聞いてました。赤江さんがすっとぼけてて、味があるんですよね(笑)
春日太一『なぜ時代劇は滅びるのか』
なぜ時代劇が流行らなくなってしまったのか、
なぜ時代劇がワンパターンの代名詞のように言われるようになってしまったのか、
熱く論じられている1冊です。
なぜ時代劇が流行らなくなっていってしまったのか。それはもちろん色々なことが絡まりあった結果ですが、
- 流行ったものを模倣していった
- 安易な模倣により視聴者が離れていった
- 視聴者が離れていくので予算が減らされていった
- その結果、後進が育たなくなり廃れてきた
ということに尽きるというのが、本のなかで述べられている著者の結論です。
制作側の問題
一度ある作品が当たると、その型を真似ることに終始して、新たな作風や技術にチャレンジする機会が減ってきてしまい、人が育たなくなる。
その結果面白い作品が作れず、当たらないことで予算が減らされ、安定した収入の元に勉強やチャレンジをすることができなくなり、さらに当たりそうな無難な作品しか作れなくなるので、人が育たなくなる。
時代劇製作の場に限らず、そこここであるあるな負のスパイラルですね。
好きなことならば貧乏でも頑張れるだろと言われがちですが、霞を食って生きていける訳ではないですし、頑張っても市場そのものが縮小してしまっている環境では、モチベーションを保ち続けるのが厳しいものがあります。
ただ「ワンパターン」の代名詞と言われる時代劇ですが、個人的にはそのワンパターンを楽しんでもいたので、ワンパターンを擁護したい気持ちもあります。戦隊モノだって、基本的なパターンはあれども、根強い人気な訳ですし。
小さい頃は、朝や夕方などに時代劇の再放送がよくありました。20時台のレギュラー放送もありました。
毎週土曜日の大河ドラマの再放送も、ワクワクしながら見ていましたし、
年末ともなれば、忠臣蔵のスペシャルドラマが流れていることも多かったです。
少し思い出しただけでも、以下のように色々と。
- 三匹が斬る!
- 遠山の金さん
- 暴れん坊将軍
- 将軍家光忍び旅
- 柳生十兵衛あばれ旅
- 銭形平次
- 御家人斬九郎
- 八丁堀の七人
- 翔ぶが如く (NHK大河ドラマ)
- 独眼竜政宗 (NHK大河ドラマ)
- 太平記 (NHK大河ドラマ)
あと、もちろん、黄門様も。
目にすることのできる作品は多かったんですね。
演者側の問題
また本では、製作側の問題についてだけでなく、演者側の問題についてもふれられていました。
たしかに、時代劇に必要となる所作は一朝一夕に身につけられるものではないので、単発のスペシャルドラマなどでは、ちょっと世界に没頭しきれなくなってしまうような、興を削がれるような動きや台詞回しになってしまっている人も、いなくはないですね。
それもこれも、効率重視・予算重視の制作体制になっていることによって、演者さん達が、じっくりと1つの作品に集中することができにくくなっているからではないか、とも書かれていました。
いまは色々な媒体があるので、アレにもコレにも露出しておかないと、中々知名度が上がらないという側面もあると思うので、じっくり1つの作品に関わることも難しそうであり、これも負のスパイラルなのかもしれません。
またこの本では、現代劇の状況についての言及はありませんが、個人的には、現代劇も、最近は漫画や小説原作のモノ、また昔の作品のリメイクものが多いので、時代劇と同じく、人が育たない状況・流れになってきているのではないかと、危惧していたり。
うーん、原作モノの映像化に、何を求めるのか?という問題でもあるのですが。
たとえば『のだめカンタービレ』は、個人的にはキャスティング、ぴったり!と思い、楽しんで見ていましたが、作品によっては、どうしてそうなってしまった…と思ってしまうものもありますし。
できればオリジナル脚本で、『リーガルハイ』みたいなスパイスの効いたドラマをもっと観たいな!と思います。(あれもシーズンを重ねるにつれ、演出のあざとさがやや鼻についてしまいますが)
読書メーターでのまとめ
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2361ページ
ナイス数:39ナイス
しをんさんのエッセイを読んでいるかのようなノリの小説でした。それぞれの登場人物の過去が少し明かされ、さらなる続編を期待してしまいます。
読了日:8月31日 著者:三浦しをん
なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)の感想
たしかに、大河の主人公が最近、理想主義過ぎるきらいがある。様々な切り口からバッサバッサと論じており、面白かった。
読了日:8月28日 著者:春日太一
そうだ、京都に住もう。 (小学館文庫)
読了日:8月24日 著者:永江朗
たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く (角川文庫)の感想
読んで、自分にはまず不可能だなと思った。10~11歳の少年が1000キロの道のりを独りでということも驚嘆であるが、それだけでなく、戦後の混乱期、人の裏表を多く見たであろうビクトル少年が、「憎しみ」という負の感情にだけに飲み込まれていない、どこかシンとした自分という軸を持ち続けていたということが奇跡だなと感じた。
読了日:8月23日 著者:石村博子
狭くて小さいたのしい家の感想
大人2人で延床面積90平方メートル弱で、あまり広くはないと書かれており、そこは庶民として涙してしまいましたが、家を建てていく工程ややり取りなど、経験しない限り知らないままのものなので、読んでいて面白かったです。また建築にたずさわった方々の後日談も載っており、それぞれの目線から、どういった点がどうであったかという話も、面白かった。
読了日:8月20日 著者:永江朗,アトリエ・ワン
まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)の感想
テレビに引っぱられないよう、記憶がやや薄れてきたところでやっと読みました。しかし、やはり気づけば、テレビの配役の彼らが頭の中で動き回っていました。閉じこもっていれば安寧かというと、そうではないのだぞ、と。鬱陶しく思いながらも、関わっていくなかで、お互いの抱えているシコリが少しだけほぐれていくような。希望のあるお話でした。
読了日:8月13日 著者:三浦しをん
木暮荘物語 (祥伝社文庫)の感想
途中から光子ちゃんが可愛くてたまらなくなりました。
終わりの方で奥さんに送る葉書がキュートでした。
読了日:8月11日 著者:三浦しをん