先月のまとめで読みたいなと書いていた本を含め、今月はあたらしく3冊読みました。

1冊目:池波正太郎著『武士の紋章

長編小説だと思い込んでいたのですが、短編小説集でした。

そのため、お目当てだった”滝川三九郎”の話は数ページしかなく(涙)

内容も『真田太平記』とわりと被っており目新しさはなかったのですが、その他の短編を楽しみました。結果オーライ。

私が読んだのはハードカバー版でしたが、現在出回っている文庫版とは内容が一部異なるようです。

ハードカバー版では、その他、高杉晋作、松平容保、河井継之助、小栗上野介忠順、渡辺昇が主人公に据えられていました。明治維新と関わりが深い人達です。

明治維新については最近、そこへ向かう流れというかきっかけというか、大勢の人達の思惑が入り乱れながらも新しい時代へと情勢が動いていく様に、以前よりも面白味を感じるようになってきました。

夏目漱石の『現代日本の開化』の中に、明治維新から始める世の中の変遷を評している部分があるのですが、読んでいて、それをふと思い出したりも。

それで現代の日本の開化は前に述べた一般の開化とどこが違うかと云うのが問題です。

もし一言にしてこの問題を決しようとするならば私はこう断じたい、西洋の開化(すなわち一般の開化)は内発的であって、日本の現代の開化は外発的である

ここに内発的と云うのは内から自然に出て発展するという意味でちょうど花が開くようにおのずから蕾つぼみが破れて花弁が外に向うのを云い、また外発的とは外からおっかぶさった他の力でやむをえず一種の形式を取るのを指したつもりなのです。

国民主権や女性参政権なども、いうなれば外発的なものだから、いまだに「えっ!?」となるような発言をニュースで見聞きしなくてはならないのか?など、つらつら考えたりもしていました。

2冊目:三浦しをん著『ふむふむ–おしえて、お仕事!

様々な職業につかれている女性へのインタビュー集でした。

靴職人―中村民

ビール職人―真野由利香

染織家―清水繭子

活版技師―大石薫

女流義太夫三味線―鶴澤寛也

漫画アシスタント―萩原優子

フラワーデザイナー―田中真紀代

コーディネーター―オカマイ

動物園飼育係―高橋誠子

大学研究員―中谷友紀

フィギュア企画開発―澤山みを

現場監督―亀田真加

ウエイトリフティング選手―松本萌波

お土産屋―小松安友子・コーカン智子

編集者―国田昌子

という、本当に多種多彩な職業の方々のお話が載っていたので、単純にほぉほぉふむふむと面白かったです。

3冊目:黒澤はゆま著『九度山秘録: 信玄、昌幸、そして稚児

小姓や稚児と称される若者たちがどういう育てられ方をされていたのかが垣間見える小説でした。

実際のところは(分からないですが)ドロドロした部分もあったものだと思います。

ですがこの小説では、自分の理想を注ぎ込み一人の武者を育ててゆくという形で、爽やかな読後感でした。

先月も書いたのですが、この本の著者である黒澤はゆま氏のcakesの連載、毎週楽しみに読んでいます。

なぜ闘う男は少年が好きなのか?|黒澤はゆま|cakes(ケイクス)

古今東西、ドラマに事欠かないですね。

以上3冊、長くなりました。

2016年3月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:896ページ
ナイス数:2ナイス

武士(おとこ)の紋章 (新潮文庫)武士(おとこ)の紋章 (新潮文庫)
読了日:3月29日 著者:池波正太郎
ふむふむ―おしえて、お仕事!ふむふむ―おしえて、お仕事!
読了日:3月22日 著者:三浦しをん
九度山秘録: 信玄、昌幸、そして稚児九度山秘録: 信玄、昌幸、そして稚児感想
ここで終わったか!という終わり方でしたが、でも納得と言えば納得の最後。
読了日:3月18日 著者:黒澤はゆま
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