すべてお初の本を9冊でした。物語ありエッセイあり雑学ありいろいろと。

気がつけば10月が終わってしまいそうなタイミングで9月分の記録をしております(笑)

9月もAmazonのKindle Unlimitedサービスと図書館のお世話になりました。

物語は以下の4冊。

  • 魔導の系譜、魔導の福音
  • 父と私の桜尾通り商店街
  • 鹿の王 水底の橋

1つ目の魔導シリーズ(と呼ばれているらしい)はKindle Unlimitedのオススメに出てきました。1作目の『魔導の系譜』が創元ファンタジイ新人賞の受賞作品とのこと。コミカライズも始まっているようです。

本の末尾に選者の講評がついていて、それがそこまで高評価な書かれぶりではなかったのもちょっと意外でした。投稿時から出版するまでの間にどの程度の改稿がされたのかはわかりませんが、なかなかに密度の濃いお話です。

そして個人的により一層ぐっときたのが、シリーズ2作品目の『魔導の福音』。

これまで人の世から消えたことはないであろう「差別」について、シリーズの背景でもある魔導を扱う者に対する差別、性的マイノリティーへの差別を軸に、差別する側の弱さや命を脅かされるまでに差別される側の怒りなどを余すことなく書ききっている内容でした。

シリーズはあと2作品あるようなので、続きを読むのが楽しみです。

2つ目の『父と私の桜尾通り商店街』は、先月『星の子』を読んで俄然気になった今村夏子さんの作品です。

平穏な日常を書いているように見えつつ、そこに静かな少しずれた狂気が入り交じってくるような、独特の印象を抱く物語でした。

3つ目は上橋菜穂子大先生の『鹿の王』の続編となる1冊。いつものことながら、国をまたにかけた人々の動きや思惑や心情や世の中の仕組みといったものを、よくこうも鮮やかにまとめられるなと感嘆してしまいます。

図らずもコロナ禍に出版された目に見えないウィルスを中心とした物語ということで、その辺りのことに触れられたあとがきもしみじみとするものがありました。

エッセイは、詩人の茨木のり子さんが晩年力を入れられていたハングル(の学習や文化や歴史)に関するもの。

このブログの記録からは抜けてしまってますが、今年の7月に別冊太陽の茨木のり子特集本を読んで以来、茨木のり子さん熱が熾き火のように再燃しています。

「自分の感受性くらい自分で守ればかものよ」
戦争前後で価値観が大きく変わる経験をされた世代。自分に投げかけたというこの有名な1フレーズはじめ、鋭く刺さってくるけれど、品があり、真摯さがある。その言葉づかいにとても心惹かれます。

ほかは、昨今話題に「非認知能力」と呼ばれるものがらみの本と、面白そうと思った本などを読みました。

読書の秋、はかどってます。

9月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2886
ナイス数:8

魔導の福音 (創元推理文庫)魔導の福音 (創元推理文庫)感想
勝手にいないとされてきた側やいわれなき差別を受けていた側の怒りを当然のものとしてここまできっちりストレートに書いた作品を読んだのは初めてかもしれない。 登場人物の中には幸運にもたたき返す刃を持ったものもいたけれど、それでも彼女が心を削がれ続けてきたこともきっちり書かれていた。また、これは弱者への差別であると気づいていても、世間やわが身可愛さに屈してしまう側の弱さについても。
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魔導の系譜 (創元推理文庫)魔導の系譜 (創元推理文庫)
読了日:09月28日 著者:佐藤 さくら
父と私の桜尾通り商店街父と私の桜尾通り商店街
読了日:09月25日 著者:今村 夏子
王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎 (ブルーバックス)王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎 (ブルーバックス)
読了日:09月24日 著者:石浦 章一
「非認知能力」の育て方:心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育「非認知能力」の育て方:心の強い幸せな子になる0~10歳の家庭教育
読了日:09月13日 著者:ボーク 重子
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につけるやり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
読了日:09月10日 著者:アンジェラ・ダックワース
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2020年7月に書き終えたものと書かれていた。杉並区長としての今後に期待!
読了日:09月04日 著者:岸本聡子
鹿の王 水底の橋鹿の王 水底の橋
読了日:09月03日 著者:上橋 菜穂子
ハングルへの旅 (朝日文庫)ハングルへの旅 (朝日文庫)感想
詩集以外に出されてた本があると知って、初めて読んだ。個人的に「日本方言との対比」という韓国語と日本の方言との類似例を挙げられていたところとか、興味深かった。
読了日:09月02日 著者:茨木 のり子

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