2021年2月中に読んだ本
思い出して再読した本とKindle Unlimitedで新しく出会った本と、合計10冊ほど読みました。
私も最終巻まで履修済みの『鬼滅の刃』。今度アニメで遊郭編が始まるとのニュースをきっかけに、Twitterで少し盛りあがっている話題がありました。それは、『鬼滅の刃』若年層にも抜群の知名度を誇るので、夜放送とはいえ、視聴する子は一定数いるであろう。そんな中、子ども達に話の舞台となる「遊郭」について質問されたらどう説明する? というものでした。
個人的には『鬼滅の刃』で遊郭は軽々しく扱われていないとの印象があるので、コンテンツ自体に明らかな問題があるとは思っていないのですが、「遊郭」などは教育過程できっちり触れられる内容でもないため、子どもが物語をどう受け取るのか、どのような影響を受けるのか、それを危惧する思いは分からないではなく。
なんならうちの息子も小学1年生ですが、学童に漫画が全巻とノベライズ本も何冊かあるとのことで、既に最終巻まで読んだそう。『鬼滅の刃』は、命への全面的な肯定的眼差しがある一で、家父長制的な描写や特攻隊につながりかねない感覚の危うさなんかは内包しているとは思うので、その辺りの感じ方は気になるところ。近々彼にも感想などを聞いてみたいと思います。
そんな訳で、前置きが長くなりましたが、この話題をきっかけに「自分の遊郭へのイメージや知識はどこから来ているのか?」を振り返る中で思い出したのが、三浦綾子さんの『泥流地帯』。
▼ 年季入ってます。
1926年に起きた十勝岳の大噴火前後の富良野を舞台とした作品で、少年期から青年期にかけての兄弟を中心とした物語です。生きるとは? 労働とは? 貧困とは? 家族とは? 愛とは? 幸福とは? など、広範なテーマを内包した物語です。
そして主人公である耕作は富良野の農家の子どもなのですが、その幼馴染である福子という少女が親に遊郭に売られ、借金を背負いながら働くことになる描写が出てきます。また『続 泥流地帯』では、そのような遊郭で働く女性の解放に関する話も出てきたり。
久しぶりに本棚から引っぱり出し、読み返していました。
金を稼いでいれば偉いのか、金があれば幸せなのか?など、現代でも(だからこそ?)十二分に身にしみる事柄が描かれています。
他には、田辺聖子さんの現代作品をKindle Unlimited で読みました。
映画としても有名な『ジョゼと虎と魚たち』、実はまだ観たことがないのですが、最近(?)コミカライズされた関係か Kindle Unlimited 対応作品になっており、読んでみました。
田辺聖子さんは、万葉時代あたりを背景とされた小説も書かれていて、そちらはいくつか読んだことがあったのですが、現代作品は初めまして。『ジョゼと虎と魚たち』も、長編小説かと思っていたら短編小説なんですね。驚きでした。
時代小説を読んで受けていたイメージと違い、現代小説では、飾り気のないむき出しのような、それでいて危ういバランスを楽しむというか味わうというか、描かれている女性たちのそんな感じが面白く。『魚は水に女は家に』も『ジョゼと虎と魚たち』の次になんとなく選んでみた作品でしたが、個人的にはかなり面白かったです。
舅・姑・小姑のいる大家族に嫁ぎ、「どっちでもいいの、私」方式で我を押しころし、さしたる波風もたてず、二十年。やっと、親子夫婦だけの生活がはじまった時、舟子は、せせこましい仕事にからめとられ、世の中の回転から全くそれている夫を啓蒙したい、と思った。共に楽しい人生を送るために。魚は水に、女は家にいるもの、と思っている世の男たちに、そして、すべての女たちに贈る、自立への出発(たびだち)の物語。
魚は水に女は家に / 田辺聖子 <電子版> - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストアより
また『おちくぼ姫』は古典の落窪物語をベースとした作品(現代語訳版)で、知らないから読んでみようと選んだ作品でしたが、読書メーターで『わたしの幸せな結婚』(一時期コミカライズ版の広告をよく見かけた)は「落窪物語」ですねとの感想を見かけて、たしかに!となりました。
たまたま両方読んでいたので、「なるほど」の感覚が深く、ちょっと面白い体験でした。
あとは、小学生くらいのお子さんにも人気という『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』も Kindle Unlimited に出ていたので読みました。こちらも面白かったです。
そして、なんだか見たことがあるお名前…と思っていたら、『妖怪の子預かります』シリーズを書かれている方なのですね。
以前読んだことがありました。時代や舞台背景などにほんのり「鬼滅」っぽさがあり、このシリーズもはまるお子さん多いんじゃないかな。
その他、こうの史代さんの Kindle Unlimited に出ていた漫画も読んだりと。『さんさん録』のテンション、結構好きです。
2月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2992
ナイス数:22
日の鳥
読了日:02月26日 著者:こうの史代
さんさん録 : 1 (アクションコミックス)
読了日:02月26日 著者:こうの史代
おちくぼ姫 (角川文庫)
読了日:02月25日 著者:田辺 聖子
魚は水に女は家に (角川文庫)の感想
Kindle Unlimitedにて。主人公の女性にかなり共感しながら面白く読んだ作品だった。女性を人として見ているか、その辺の主人公の見解も書かれていたけれど、とても良くわかる。
読了日:02月23日 著者:田辺 聖子
青の王
読了日:02月21日 著者:廣嶋 玲子
ふしぎ駄菓子屋 銭天堂
読了日:02月19日 著者:廣嶋 玲子
続 泥流地帯 (新潮文庫)
読了日:02月17日 著者:三浦 綾子
泥流地帯 (新潮文庫)の感想
SNSで「遊郭」についての話が出ており、そこから思い出して再読。久しぶりに読んでみると「怒られても怒られなくても、やらなきゃいけないことがある」とすでに悟っている温かな友人であった権太が染みた。
読了日:02月17日 著者:三浦 綾子
【Amazon.co.jp限定】ジョゼと虎と魚たち (特典:スマホ用壁紙データ 3種類 データ配信) (角川文庫)の感想
映画も観たことがなくて、実は初めましてだった表題作。短編集だったことすら知らなかった。田辺さんの現代作品を読むのも実は初めてだったのだが、こういう雰囲気で書かれるかただったのかと知り、他の作品も読み始めた。
読了日:02月05日 著者:田辺 聖子
わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)
読了日:02月02日 著者:顎木 あくみ
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