大手古本屋チェーンで購入して、積読になっていた本達をようやく消化しました。江國香織著『抱擁、あるいはライスには塩を』の上下2冊です。

都内の大きな洋館に暮らす家族が、家族からというか「家」という結界から自由になろうと、もしくは、居心地は良いのだけれど出ていかなくてはならないのだろうかと、逡巡している物語です。

祖父母、父母、叔父叔母、そして子ども4人が一緒に暮らしているけれど、血のつながりは、半分だけだったりする子どもも。

外から見ると奇っ怪な家族なのだけれど、中のメンバーは当人同士を大切に思っている。

けれど、やはり外の世界と接すると自分たちはおかしいのではないか?と、整えられたレールの上を生きていくだけになるのではないか?ということで、外へ出ていこうとしたり、出ていって失敗して戻ってきたり、受け入れてくれる人たちもいたり。

どこか浮世離れした人たちや、不器用ながらも異なる風習に馴染もうする人たち、器用そうに見えて実は馴染めていない人たち。

江國香織ワールド全開で、面白かったです。

なんとういうか、江國作品の登場人物たちの自分の生き方に固執する強さと、ときに戸惑い、異なる世界に慣れなくてはと焦りもがく姿に、共感するというか、魅せられます。

9月の読書メーター
読んだ本の数:2
読んだページ数:679
ナイス数:1

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読了日:09月06日 著者:江國 香織
抱擁、あるいはライスには塩を 上 (集英社文庫)抱擁、あるいはライスには塩を 上 (集英社文庫)
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