2021年12月中に読んだ本
年末に読んだのは3冊。小説1冊、エッセイ1冊、対談本1冊でした。
今月記録に残していた3冊はすべて図書館本。
芥川賞受賞作の村田沙耶香さんの『コンビニ人間』は選考のときに物議を醸したそうで。言われてみればたしかにそんなこともあったかも。
社会的な「普通」とは何なのだろうとか、社会を構成するマイノリティの無邪気な残酷さや、「普通」から外れたときに必要とされる物語とか、「普通ではない」と判断された人間が日本社会で暮らしていくツラミというか。
そういったものが主人公の周囲との噛み合わなさとともに的確に描かれている作品だなと感じました。
一方で、主人公がコンビニに寄せる熱のようなものがずっと描かれているので、読後感はそこまで暗くもならず。(もちろん人によって違うと思いますが)
最後まで一気に読んでしまいました。
2冊目の松田青子さんの『自分で名付ける』は2021年発売のエッセイ。自身のお子さんの妊娠・出産にまつわる話や事実婚にまつわるアレコレ話が書かれています。
もともと、この本が発売されたときのインタビュー記事などをいくつか拝見したのをきっかけに『おばちゃんたちのいるところ』などの松田さんの著書を最近少しずつ読みすすめているので、ようやくきっかけとなった本を読めてすっきりしました。
松田さんが日々の生活で感じられる「?」のような種もすごくよく分かるというか共感できるというか。
村田沙耶香さんの『コンビニ人間』に通じる部分もあるのですが、人を勝手に枠にはめて安心しようとするな!という怒りというか、なんでそんなにはめたがるの?と不思議に思う気持ちのようなものがよく分かるというか。
女性として日常で出くわす理不尽さが0になる日はまだまだ遠そうですが、そのような点を率直に書ける人たちが増えてきている心強さはありますね。
最後の1冊は最相葉月さんと産婦人科医の増崎英明さんの対談本で、図書館で背表紙を見かけてなんだか面白そうと思い借りてみた本です。
▼ 本の目次
株式会社ミシマ社 | 胎児のはなし | 原点回帰の出版社、おもしろ、楽しく!
いまの妊婦健診では超音波で胎児の様子を見られるのは当たり前ですが、増崎さんは胎児エコーが日本に入ってきて使い始めたころからの産婦人科医ということで、胎児エコーの話や胎児の生態や胎児を対象とした手術の話など、知らない話ばかりで面白い対談本でした。
妊娠の過程で父親の遺伝子が母親に入り込んでいるかもとか、へーーーとなる話も多かったです。
日本の産婦人科医は忙しくて、のんびり(?)と胎児の研究をできる人も少ないそうですが、2019年発刊なので、2022年のいまはまた新しくわかってきたこともあるかも。
最相さんの事前の下調べというのか、話を十分に引き出せているところも本当にすごいなと思う本でした。