2016年12月中に読んだ本
風邪(インフル?)で体調を崩していたので、ややペースダウンして、2冊でした。
1冊目:澤地久枝著『家計簿の中の昭和』
戦後、満州から引き揚げてきてから昭和の終わり頃まで、コツコツと書き留めていた家計簿ノートを元に、当時の暮らしぶりや生活ぶりを振り返った本で、面白かったです。
向田邦子さんと行った旅行の記録も残っており、向田さんの随筆の中で書かれていた私が取ったという行動のアレは、彼女の創作ですよ、なんてネタばらしもあったりして、それもちょっと嬉しかったりしました。
物価の移り変わりや生活様式の変化など、日々の細々とした家計簿からもしっかり浮き上がってくるのだなと思いました。
私も現在一応家計簿はつけているものの、アプリ管理で、購入品の細目は基本的にアプリのカメラによるレシート読み取り任せなので、人参1本いくらだったか、ティッシュ1箱いくらだったかとかは、記録の中に埋もれていっている感じです。
でも、ほんとにこういう些細な記録とは言え、何年、何十年と続けて記録されていると、個人的なものであっても、こう立ち上がってくる歴史の香りのようなものが出てくるのが、ほんとに醍醐味だなと読んでいて思いました。
澤地久枝氏の本は、
- 『14歳(フォーティーン)満州開拓村からの帰還』(2016年5月中に読んだ本)
- 『われらが胸の底』(落合恵子氏との共著)(2016年6月中に読んだ本)
に続き、3冊目。
『妻たちの二・二六事件』などの代表作品は、これから少しずつ読んでいってみようと思ってます。
2冊目:對馬達雄著『ヒトラーに抵抗した人々 – 反ナチ市民の勇気とは何か』
以前ネットでこの記事を見かけ、
ライヒヴァインの勇気と優しさの学校:『ヒトラーに抵抗した人々』著者・對馬達雄に訊く|WIRED.jp
読んでみたいと思ってメモしていた本を、半年後くらいにようやく読めました。
戦時中のドイツにも、このままではいけないと早い時期から危機感をもち、ネットワークを築きつつ、ナチス政府の監視の目をかいくぐりつつ、ユダヤ系市民へのサポートや新しい政治体制の模索(クーデター計画)をしていた人々がいました。
そのような人々(連携していた人達もあれば、個人で動いた人もあり)の生き様について、まとめられている本です。
また、抵抗運動を家族ぐるみで行っていた人もいれば、家族はなるべく切り離した形で活動していた人もおり、クーデター計画が失敗に終わり処刑された人々の残された家族が、どのように生き抜いていったか、家族達の戦後についても書かれていました。
ヒトラー政権下でのクーデター計画および実行は、この戦時下に政権を崩壊させるような行動を取るとは何事かと苛烈な批判にさらされ、戦後においても、ナチスの残党が公職に多く残っていたことや東西ドイツの分裂などの影響から、彼らの活動が認知・評価されるには時間がかかり、残された家族達の戦いは、長いこと続いていたことも知りました。
(今年もこんな映画が公開されたばかり)
映画「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」公式サイト
レンタルが開始された『帰ってきたヒトラー』も先月借りてきて観ましたが、移民を積極的に受け入れてきたメルケル政権下でも、自分たちの取り分が奪われたといった不満の種はくすぶっているようです。
“衣食足りて礼節を知る”ではないですが、世界的に先行き不安に覆われている中での排外主義的な空気感は、他人事ではないと感じています。
12月の読書メーター読んだ本の数:2読んだページ数:535ナイス数:8
家計簿の中の昭和 (文春文庫)読了日:12月16日 著者:澤地 久枝
ヒトラーに抵抗した人々 – 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)読了日:12月13日 著者:對馬 達雄
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