ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』読みました。素晴らしい本でした。

日本では「共感」と訳される「empathy」という単語。 日本語の辞書では「sympathy」も同様に「共感」との訳が出てくることが多いですが、イギリスではその違いをきっちりと学校教育のなかで考えさせていくそうです。(参照:『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』: 5章 誰かの靴を履いてみること

まさに誰かの立場になって考えてみる能力、すなわち「Empathy」とされるものが、いまの自分や家族の生活を守っていくことに手一杯な日本では特に、不足しがちな概念なんじゃないかなと読んでいて思いました。

あとは、ブレイディみかこさん繋がりで、『保育園を呼ぶ声が聞こえる』も読みました。 イギリスと日本の保育事情の比較や保育に関する政策や労働環境についてまで、座談会という形で濃密に語られている本でした。

読んでいて思ったのは、日本もイギリスの「OFSTED」のような、子どもに関わる仕事に就く人および施設を一元管理かつ公開する国の組織が必須だなということ。 (いまは文科省と厚労省にわかれているし、保育に従事する人をデータベース化して未成年への性犯罪を防ぐ手立ても取られていないし、認可外保育園のように定期的な監査が入らない施設が多くあるとか)

日本の保育園は収入にかぎらず門戸が広く開かれているのはたしかに良い点なんですが、子どもファーストの視点をもっと意識して取り入れていかないとですね。

政治と自分をむすぶ水路をまた少し広げてくれる本たちでした。 政治と私をむすぶ水路と私が投票に行くようになった理由 - 日なたの縁台

その他、気になっていた瀬尾まいこさんの『君が夏を走らせる』の前編的な『あと少し、もう少し』や、三浦しをんさんの『あの家に暮らす四人の女』(ドラマ化されてたの知らなかった…)、そして超有名漫画家 萩尾望都さんのエッセイ集『一瞬と永遠と』を読みました。

萩尾先生の文章をまとめて読んだのは初めてだったのですが、びっくりするくらいピリリと、そして整然としていて、すごいなぁ…と圧倒されました。

1月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1258
ナイス数:54

保育園を呼ぶ声が聞こえる 保育園を呼ぶ声が聞こえる感想
日本の保育園には様々な世帯が通っていて、イギリスのように貧富の差によって分かれてしまわないのは、たしかに良い点だと思う。一方、保育に従事する人の要件が規制緩和によってどんどん緩められていて…イギリスのOfstedのように一元管理するシステムを早急が整えて欲しい。 「子どもの視点」が欠けている日本の保育を変えていきたいな。
読了日:01月26日 著者:猪熊 弘子,國分 功一郎,ブレイディ みかこ
あと少し、もう少し あと少し、もう少し感想
中学生駅伝をめぐる物語。みな大人っぽいし、上原先生は要点を押さえてるし、熱血型の担任先生の言葉選びの繊細さも泣ける。
読了日:01月25日 著者:瀬尾 まいこ
あの家に暮らす四人の女 あの家に暮らす四人の女感想
シリアスなのに笑ってしまうところがあったり。誰かとともに生きることの多様性みたいなものが軽やかに描かれてた。
読了日:01月25日 著者:三浦 しをん
一瞬と永遠と 一瞬と永遠と感想
図書館でふと目があって借りた本。とにかく言語化していくというだけあって、すっきりとまとまったスケッチのような文の数々だった。
読了日:01月23日 著者:萩尾 望都
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー感想
イギリスの学校制度のあり方や、それをめぐる社会の様子なんかをリアルに感じられる一冊だった。 しかし学校で子どもの権利についてしっかりと教えてくれるのはいいな。日本もぜひそうして欲しい。 息子さんの走り書きからとったというタイトルもよい。
読了日:01月12日 著者:ブレイディ みかこ

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