2020年2月中に読んだ本
先月に引きつづき、ブレイディみかこさんつながりの本を2冊読みました。
ブレイディさんは、欧州各国の政治情勢を1住民としてフォローアップしているとともに、それを自分の言葉として咀嚼して語れるのがすごいなあと。
『そろそろ左派も〜』は対談本なのですが、アベノミクスについて一定の評価をくだす人いる理由が、わかったような気になれました。 評価している人は、市場にでまわるお金を増やそうという日銀を巻きこんでの「金融緩和政策」を評価しているのですね。
「アベノミクス」とだけ言うと曖昧模糊としてしまうので、「アベノミクスを評価する」と言ったとき、「安倍政権がおこなった経済対策」のどれを指しているのか明示しておかないと、齟齬が生じるというのも理解できました。
金融緩和しておきながら、同時に10%に増税する。これを、著者の松尾さんは「安倍政権はアクセルとブレーキを同時にふかしている」と評していたのですが、すごくよくわかる例えでした。
『THIS IS JAPAN』は、まさにブレイディさんが大切にされている「草の根の当事者」による活動をすくい上げている、ルポタージュ本です。
いまの日本は、なかなかミクロな声が集まって大きくなっていくことが難しいように感じるのですが、それでも、とにかく当事者を擁立する「れいわ新撰組」のような政党もでてきてはいるので、その流れが少しずつ太くなっていくことを願わずにはいられない本でした。
次は、これらの本でよく名前があがっていた、ギリシャで財務大臣をされていたバルファキス氏が書いた本を読んでみたいなと思ってます。(図書館で予約待ち中)
最後の1冊『散る散る、満ちる』は、今年の本屋大賞にノミネートされている凪良ゆうさんの作品でした。 もともとボーイズラブを書かれている作家さんで、図書館にあるリストからタイトルだけを見てポチポチ予約ボタンを押していたら、入っていた一冊です。 ド王道ともいうべきBLなんですが、喪失の痛みと再生の希望ががっつり描かれていまして。読んでいて涙腺がじわ〜っときました。
作中に、吉本ばななさんの大学卒業制作作品である「ムーンライト・シャドウ」かなと思しき小説への言及がされていて、そんなところも世代としてはグッときました。
そして『神様のビオトープ』も今月読んだのですが、これもまた思うところがいろいろ出てくる作品でした。
2月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:839
ナイス数:18
散る散る、満ちる (ショコラ文庫)の感想
王道のストーリーのなかにも、喪失の痛みや生命あるがゆえの再生の希望が描かれていて、涙腺が…。キンピラという名前がとてもカワイイ。そして、橋のところで死者に出会えるという小説、吉本ばななさんの作品を思い出した。
読了日:02月22日 著者:凪良 ゆう
THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本の感想
「経済にもデモクラシーを」
日本の政治にどうすれば草の根の当事者の意見を反映してゆけるか。そして「人権」というものを理解するというか体得しておく重要性。
ミクロな日本の活動する人たちの姿の連なりは、投げやりな気分に飲み込まれそうになっても諦めてはいけないという、静かな勇気を与えてくれたような気がした。
読了日:02月16日 著者:ブレイディ みかこ
そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学の感想
そう、我々が求めてるのは「パンも薔薇も」なんだよなと。2020年のいま、結局のところ日本経済は低迷しつづけていて、先行きがよくなる予感もなくて。貨幣に固執するしかない、貯金して備えるしかないという感覚がある。
安倍自民がアクセルとブレーキを同時にふかしてる内に、野党はアクセル全開で夢を描いて欲しい。
読了日:02月08日 著者:ブレイディ みかこ,松尾 匡,北田 暁大